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高齢の方とでかける

車椅子でお出かけ~心のバリアフリーとの出会い~

はじめまして kokoronです

私には、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に暮らす高齢の母がいます。母は数年前から歩行が難しくなり、自走式車椅子を使うようになりました。自分で車椅子を操作して、日々暮らしています。

病院への通院は、私が運転する車に乗って出かけます。シートへの移乗は手の力を使い自分で出来るので、私は見守ってサポートをしています。外出時は、車椅子を私が後ろから押しています。


意識を変えた出来事

3年ほど前、午前診を受けに病院へ行った、ある日のこと。病院の入り口は平坦で、自動ドア。院内でも不便さを感じる事はありません。
さて診察も終わり、帰りにどこかで食事をしようかと考えると、急にとても不安になりました。どこへ行こうか、どこに行けるのか…と。
豊岡の病院や公共施設は、バリアフリーになっています。でも街のお店のほとんどは段差があったり狭かったり、自動ドアではなかったり。
都会に行った時、車椅子の人をよく見かけるように思いました。障がい者が出かけやすくなる為には、街全体のバリアフリー化が進んでいる事が、とても重要です。その点は、豊岡は遅れているなと感じています。
「豊岡って、車椅子ユーザーに厳しい街。車椅子で気軽に行けるお店が無いよね」
そう思いながら母を車に乗せ、病院の駐車場を出ました。行き先を考えながら、豊岡の街をぐるぐると走りました。

ここならスロープがあるし、大丈夫かも…と悩んだ末に決めたのは、回転寿司のお店です。
車椅子を私が押し、スロープを通り、さて難関の重たいドアの前へ。
「まずドアを開けて、押さえながら後ろ向きに通るのかな?」と考えていると…。
店の中から中学生くらいの女の子が、ひらりと出てきて、ドアを開けてくれたのです。恥ずかしそうに視線をそらしているけれど、明らかに母の車椅子の為に、ドアを押さえて待ってくれています。
私は、思いもよらないことに驚き、小さな声で、ありがとうと言うのが、やっとでした。母が通ると彼女は、順番待ちをしている家族の所に、戻って行きました。
帰りには、店員さんが気がついて、ドアを開けてくれました。

それから数日後の、またある日のこと。
母と街の中心の商業施設に行きました。食品も衣料品も揃う、大きなお店です。ここはバリアフリーで通路も広く、買い物も楽に出来ます。車椅子専用駐車場に車を停め、さぁ店内へ。


エレベーターホールに近づくと、若い男女6人が、エレベーター前で待っていました。
楽しそうに話す内容から「これからボーリング場に行くんだな。私達は、次のエレベーターに乗ったらいいわ」と思いながら、少し離れた所で待っていました。 

しばらくして、エレベーターのドアが開いた途端、先頭にいた少年が「はい、どうぞ」と振り向いて、母に声をかけてくれました。他の1人は、ドアが閉まらないようにボタンを押してくれています。
またも思いがけない出来事でしたが、私は、しっかりと「ありがとう」と言い、母も「まぁご親切に」と笑顔でお礼を言い、エレベーターに乗りました。
同じエレベーターに乗った彼らは、さっきよりももっと笑顔になり、次に着いた階で、賑やかに話しながら降りて行きました。

人の優しさと感謝の気持ち

その後、1階のドーナツショップで、母とコーヒーを飲みながら語ったこと。
「豊岡の若い子達が、素敵すぎるね。困っている人の手助けを、さっと出来る人が、毎回私達の前に現れるなんて」
「豊岡は障がい者に厳しい街だと思っていたけど、違うってことがよく分かったわ。住んでる人の心がバリアフリー。本当は優しい街なんだね」
美味しいコーヒーを飲み、母も満足した表情で、住宅に戻りました。


その日から私の気持ちも楽になり、車椅子でも、たくさん出かけたいと思えるようになりました。とても貴重な体験でした。
それから何度も、街の人の優しさに出会いました。車椅子のタイヤが段差に引っかかった時に、さっと手を貸してくれた方。車椅子がエレベーターに乗るまで、開くのボタンを押し続けてくれた方。
そんな方々への
『ご親切にありがとう』の気持ちを、忘れずにいたいと思っています。

さあ豊岡の街に出かけよう!

今ようやく、自由に外出し、多くの人と交流が出来る世の中が戻ってきました。
車椅子ユーザーや、障がいがある為に外出をためらっている方があれば、どうぞ思い切って街に出かけてみてください。
優しい心に出会い、きっとまた次も出かけたいと思えるはず。
豊岡って、良い人がたくさん住んでいる、とても素敵な街です。

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kokoron

お花を育てるのが好きな主婦です。 数年前に10代で脳卒中を発症した息子と、 高齢で車椅子ユーザーになった母と、 骨折後、体調を回復してきた義母のサポートをしています。 そんな毎日の中で、人に助けてもらう有難さを知りました。小さな気づきを発信できたら良いなと思っています。

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コメント

    • すらんぷ8
    • 2023.07.05

    記事を読んで心が暖かいもので満たされていくのを感じています。
    それと同時にこれは、障害を持つ人が親切に頼らなくても自分の意志で街を楽しめるようになるまでの執行猶予の期間ではないかと思ってます。
    道のりは厳しいことは容易に想像がつきますが街づくりにたずさわるひとの奮起を遠くから応援しています!

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