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不登校・ひきこもりの心安らぐ居場所「ドーナツの会」って どーなつてるの?

はじめて僕が、戸田先生とお会いしたのは、3年前の補助金のプレゼン会場でした。みんなから「戸田先生お元気ですかー?」「先生、お久しぶりです!」などと、やたら多くの人から声をかけられてる姿を見て「このオーラのあるおばちゃんは、何の先生なのかな?」と思っていました。それから何度か、福祉関係の会議でご一緒させていただき、いつも明るくて、いつも前向きで、いつもパワフルで、いつも優しく思いやりのある方なんだということがわかりました。そして「ひきこもり」の人を支援している元校長先生なので「戸田先生」と」呼ばれていることもわかりました。

以前、僕の友人のお子さんが学習障がいの疑いがあるとかで悩んでるという話をしたときに「ああそう、一度ドーナツにおいでよ。気楽に。いつでも」と言ってくださいました。それを友人に伝えると大変うれしがって「いざとなったら相談させてもらえると思うだけでがんばれる」と、今、お子さんも問題なくすごしておられるようです。

コレだと思うんです。安心できる暮らしに必要なのは。いざ本当に困ったときに、駆け込む場所が在るということ。無条件で、前のめりに手を差し伸べてくれる人の存在。

制度がないから助けられない、予算がないから受け入れられない、障がいの認定がないと厳しい…それらは仕方のない事実かもしれないけれど、一方で今めちゃめちゃ不安を感じて困っている親と子どもがいるという現実。

戸田先生は、ことあるごとに「誰も孤立させてはいけないんよ」「誰にも居場所が必要なんよ」とおっしゃいます。本気の目で。その瞳の奥は優しさと強さがあふれています。

こんな人に相談できたら、きっとうれしいし、なんだか上手くいきそうな気がするだろうな…と僕自身が強く感じたので、今回取材をさせていただきました。

戸田先生

<戸田和代 プロフィール>
NPO法人コウノトリ豊岡・いのちのネットワーク
ドーナツの会(兵庫ひきこもり相談支援センター但馬ブランチ)事務局長
好きな言葉「ピンチはチャンス」

<ドーナツの会>
〒668-0045 豊岡市城南町23-6 豊岡健康福祉センター3F
TEL 0796-26-1101 FAX 0796-26-1102 
ドーナツの会公式サイト

ドーナツの会におられた方が描かれた絵 繊細さと優しさがにじみ出ている
ドーナツの会はとても見晴らしのよい場所にあります

――今日はよろしくお願いします。公式サイトを拝見したところ、キーワードや名称が多かったので頭の整理をさせてください。ドーナツの会って何ですか?

戸田先生: NPO法人コウノトリ豊岡・いのちのネットワークってのが本体ね。できたのが2011年で、東日本大震災の被災者支援のための東北支援プロジェクトと同時に、ひきこもり支援プロジェクト「ドーナツの会」を立ち上げました。そして、兵庫県より委託を受けて、兵庫ひきこもり相談支援センターの但馬ブランチとして、但馬全域に活動を広げてきました。不登校やひきこもりで悩んでいるご本人やご家族が自由に安心してすごせる居場所を提供しながら「大丈夫!ドーナツのように輪になって一緒に歩んでいこう!」というメッセージを送りつづけています。

――但馬ブランチが合言葉って公式サイトにもありました。朝食みたいな早めのランチをみんなで食べようぜ! みたいなことですか?

戸田先生: (笑)ブランチ(branch)は枝、支店みたいなイメージかな。食べるブランチ(brunch)ちゃうで(笑)。

――失礼いたしました。お恥ずかしい…です。そもそも、豊岡にひきこもりの人って何人くらいおられるんでしょうか? また、増加傾向にあるのでしょうか?

戸田先生:内閣府の調査をもとにした全国の出現率を、豊岡の人口にあてはめて算出してみると約670人。でも実際はその3~4倍を想定して動いています。「自分はひきこもりです」って言えない人もたくさんいるだろうし。ドーナツの会の年間利用者は実人数170人で、それでも多いと言われていますけど、全体的に見ると、ごく一部だと思っています。おそらくこのコロナ禍で不安を抱える方が増えることで、潜在的な総数はもっと増えるでしょうね。

――ますます求められますね。ところでドーナツの会さんが但馬初の子ども食堂をされているとお聞きしましたが?

戸田先生: はい、5年前(2017年)に立ち上げたドーナツ子ども食堂では、お子様から高齢の方まで、どなたが来てもらってもいい食堂で、生きづらさを抱えた若者たちがスタッフとして来客をおもてなしして、色々な人たちとふれあえる機会をつくっています。毎回60食を用意しています。「人の中で人となる」っていうけど、ふれあう中で、自分の役割をもって働くことが、その人にとって大きな自信につながっていると思っています。福祉のサカモトさんも食べて帰ってね(笑)。

手作りのかわいい看板がかかっていました

――(実際に取材をしている横のキッチンでランチをつくっておられました。)けっこう本格的ですね。次回食べにきまーす。(現在11時50分。残念ながら別のランチミーティングの予定が…)ところでドーナツワークスって何ですか?

戸田先生: ドーナツワークスは生きづらさを抱え、ひきこもっている若者が、心や身体の体調に合わせて仕事をする場所です。心のケアとしてのワークを通して社会的な自立をめざしています。これは他に類の少ない「ひきこもり」に特化した事業所で、県下でも珍しく、期待も大きいです。

――居場所だけじゃなくて社会的自立もサポートされてるんですね。自立ってとても大切ですけど、難しいですもんね

戸田先生: 「自立」って「自分の力だけでひとり立ちする」っていう意味だと思うやん? 精神科医のT先生が「自立とは、まわりに世話になる人をたくさんつくって生きること」っておっしゃったんよ。べつにひとりで立たなくていい、困ったときにみんなに助けてもらえば、それでええんよ。ご家族の方だって、みなさんに「よろしく頼みます~っ!」って言えたら少しは安心できるやん? ひとりでがんばらなくていいんよ。続かないから。「元気」もそう。元気になれって言葉はハードルが高いんよ。「元の気にもどそう」ってだけでいいよね。もともとできてたんだからね。

――実際に、豊岡で家族の誰かがひきこもりになったら、どこに相談したらいいんでしょうか?

戸田先生:待ってました!ここドーナツの会(0796-26-1101)にご一報ください!

――匿名でもいいんですか?

戸田先生:匿名でいいですよ。電話をくださったら、その人にはどういったサポートが必要なのかを、ご家族といっしょに考えます。

――本当にお優しいですね(笑)。最後にドーナツの会のめざす社会とは?教えて下さい。

地域に色んな人がいて、誰しも何かしらの社会的役割がある。それがその人の生きがいだと私は思う。もし失敗しても、みんなで支えあえたらいいと思ってる。人と人がつながりあう、それが包摂型社会です。この循環こそ持続可能だと思ってるのよ。一人ひとりが自分らしく幸せに生きていくことが、地域の活性化につながると思っています。

――本日は長時間ありがとうございました。

予定をこえた取材にもかかわらず、終始優しい眼差しで答えてくれた戸田先生。取材中もひっきりなしに戸田先生に話しかけるドーナツの会のみなさん。それにゆったりとした笑顔で答える先生。

「次のドーナツこども食堂も、笑顔でいっぱいだろうな」

【追記:2022年9月30日】
ドーナツの会の戸田先生・辻井先生をお招きして、とよニコライターと交流する場を設けました。その時の様子を紹介した記事はこちら。ぜひご覧ください!

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福祉のサカモト

豊岡市内で会社を経営してます。 今44歳です。 三女の父です。(ライター活動期間:2022.3.15~2024.3.31)

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