こんにちは。高校生のはるといいます。
私は、小学生の時から介護福祉士に憧れ、今は介護施設のボランティアに行かせていただいたり、母と一緒に手話を覚えたりしています。
将来のことや、自分のことについて考えすぎてしまうことも多々ありますが、そんな時に出会ったある介護施設をご紹介したいと思います。
「介護」は誰もが向き合うことになる大切なことのひとつです。
しかし、私自身、心のどこかで「介護」にはネガティブな印象を抱いていました。
「介護」と言われると、難しく、大きな問題なのではないかと思っていました。
ですが、ある介護施設と出会ったことでそんな私の考え方が180度変わりました。
私は小学校の頃から福祉に興味がありました。特に大きな理由もなかったのですが、ずっと介護福祉士になりたいと目指してきました。
そんな中で出会ったのは鹿児島県にある、株式会社いろ葉という施設でした。(以下、「いろ葉」という)。
いろ葉をモデルにした演劇を見に行ったときに、代表の方と出会い、1週間、ボランティアとして鹿児島の施設に行かせていただきました。

いろ葉では、おじいちゃんおばあちゃんの「今、したいこと」を尊重し、サポートする、そんな施設でした。利用者さんは普通に歩いてお手洗いに行って、ご飯のタイミングも人それぞれです。
施設で過ごす時間、ハーモニカで音楽を奏でている人、その横で歌を歌う人、雑誌を読んでいる人、本当に様々です。

また、昔の習慣や知識、技術などを活かして生活している方もおられました。
昔、大工さんだった人は、お年寄りになっても道具を持ったら体が覚えていて手が動いたり、ずっと料理をしていた人は、包丁を持っても大きなけがをすることもなく料理ができたりします。毎日していた仕事や習慣は、その人の個性が一番よくにじみ出る部分です。それを無理やり取り上げてしまうのではなく、その人の状態に合わせてできることをするということが、利用者さんの活力につながるのだと思いました。その人がその場所にいて、安心できる、私はここにいていいんだ、役に立ってるんだと思うことが、徘徊や混乱をなくし、その場でその人らしく生きる上で大切なことだと気づきました。
もちろん、大勢の利用者さんの中には、認知症の方や体が麻痺している方、耳が遠い方もおられます。一人ひとり違う症状があっても、みんなで集まり、女子会が始まります。
そんな楽しい輪の中に、私も混ぜてもらいました。
その施設では、おじいちゃんおばあちゃんたちが一人の人として、個性豊かに自分を表現しながら生活していました。
昨日の夜は私のことを姉妹だと言ってたくさん頼みごとをしてくれたのに、朝になったら「あんた誰け~?」と言われることも。
102歳のおばあちゃんとはこんな会話もありました。
おばあちゃん:「どこから来たの~?」
私:「兵庫の日本一暑くなる豊岡市からです」
おばあちゃん:「ん?東京?」
私:「ううん。兵庫」
おばあちゃん:「あ~!東北」
私:「ううん。兵庫」
おばあちゃん:「あ~。東京から来るのも大変やね~」
私:「う~ん。そうだね」
こんな会話は日常茶飯事ですが、こんなやりとりが繰り広げられる度に笑いが止まりません。会話のキャッチボールがずれていても、お互いが幸せで穏やかな時間です。
個性豊かな利用者さんとスタッフの方に囲まれて、本当に笑いが止まらない毎日でした。
スタッフさんが一方的に「してあげる」のではなく、お互いが支え合いながら過ごす素敵な空間でした。

兵庫県に帰る日の施設を出るとき、103歳のおばあちゃんに「また明日ね」と声をかけられました。それまで毎朝、不安そうに「誰?」と言われていたのに、私はこの言葉を聞いたときに、名前やどんな話をしたか、どんな人だったかは覚えてなくても、私という存在はその人の中にあったんだなと感じ、すごく嬉しかったです。
認知症と診断されて、「どうせ忘れる」「仕方がない」と終わらせてしまうのではなく、忘れていく中でも、絶対にその人の中に残るものがあります。私はその「残るもの」を見つけて、大切にしたいと思いました。
スタッフさんに「目の前の人は『また明日』がないかもしれないから」と言われました。その言葉を聞いたときに、今この瞬間の言葉や笑顔がすごく貴重で大切なものだと改めて気づきました。そんな人が目の前にいるなら、今、できることを精一杯届けようと思いました。
福祉のこともそうですが、人として本当に大切なことをたくさん教えていただき、気付かされることが多くありました。

そんないろ葉のドキュメンタリー映画を制作中だそうです。豊岡市でも上映したいと思っています。介護に関わりがない方も、大切な何かを一緒に見つけませんか。
取材先情報
株式会社いろ葉
公式ホームページ https://168abc.jp/
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