誰でも来ていい場所にするって難しい?〜図書館について〜
本を読んだり、勉強をしたりしなきゃいけない。
私は、図書館に対して何となくそんなイメージをもっていました。
しかしながら、誰でも利用して良い「居場所としての図書館」であること。
それは昔から変わっていないはずです。
ハードルを上げていたのは自分自身だったのでしょうか。
今回は、図書館の利用についての現状とこれからのことをテーマに、豊岡市立図書館館長 土生田祐子さん、本区区長 山本徹さん、私の3人で話をしました。
図書館ってどんな場所?〜市民と職員の目線から〜
「用事がないと行かない」
そうお話しされるのは、山本さん。
書店やインターネットで好きな本は購入できるし、図書館でタイミング良く読みたい本が借りられるとは限らない。
図書館は情報が集約されていて、蔵書もたくさんある場所だということはわかっていても、自分と関わりのある用事がないと行かないということです。
また、「市の施設というイメージが強く、職員さんと来館者に壁がある」と感じられているようです。
土生田館長も同じように「図書館は敷居の高い場所であるイメージが強い」とお話しされます。
「散歩がてら寄って休憩してもらう場所で良いが、それが伝わっていない」という悩みも。
また、館内で業務をしているとどうしても来館者や外の地域との関わりを持つ機会が少なく「職員が市民のニーズを把握できていない」と感じることもあるそうです。
数年前に整備された「いこいの間」は、勉強スペースとは違って、ちょっと一息つける場所。
お天気の良い日は、外のウッドデッキやいこいの庭で、遊びながら本を読むことだってできます。
図書館には、本や勉強に関係なくても「誰でも来てもいい」環境が既にあることがわかります。
でも、その環境が上手に活用されていないという現状。
それを山本さんは「宝の持ち腐れだ」と表現されます。
そして私も、職員さんの気持ちを知ることができていれば、もっと図書館は楽しい場所だと思っていたかもしれません。
そこから見えてくる課題は…
お二人と話をしていくと、いくつかの課題が見えてきました。
・図書館に対するイメージが固定化されている
・場所の活用がされていない
・情報や想いが伝わっていない
一番大きな課題は「図書館(行政)と市民が繋がっていない」ということではないでしょうか。
最近では、図書館の情報は紙媒体だけでなく、SNS等を使って発信されていていますが、それがいったいどれだけの市民に届いているのでしょう。
そもそも図書館を利用したことがなければ、「自分の知らない場所」という不安感があるのかもしれません。
「仕組みをつくった次に、どう伝えようと考えるのは自分たちだけでは限界がある」
「市民の応援団をつくって、図書館では〇〇ができるらしいで!と伝えてもらいたい」
このように職員だけでなく市民の協力も不可欠だと、土生田館長は言います。
それは「自分と関わりがないと利用しない」と言われた山本さんの想いとも繋がるはずです。
誰でも来ていいみんなの居場所にするには、行政と市民の双方向の動きが必要なのだと感じます。
行ってみよう!と思う仕組みをつくるには
図書館を「誰でも来ていい場所」として伝えるには、人と人の繋がりが必要です。
イベントを開催して少し特別な立ち寄る用事をつくることも一つの手段です。
実際に2022年6月〜11月まで、定期的にマーケットを開催したところ、来場者数や来館の客層にも変化があったそうです。
「初めて来てみた」「図書館ってこんなことできるんだ」という印象を持たれた方が多く、山本さんも「館内には入らなかったが、図書館に立ち寄ってみた」とのこと。
図書館は市民が活動しても良い場所であり、楽しみにしている地域の方がいるということは、オープンなイベントだったからこそ、分かったことです。
また、山本さんは「図書館の職員さんが自分の好みの本を紹介する」というような、本を通してのきっかけも必要だとお話しくださいました。
「(図書館で)自分の人生を変えた一冊に出会った」と土生田館長。
図書館周辺には、「図書館にある蔵書を全部読んだ」という、本や歴史に詳しい方もいらっしゃるのだとか。
図書館は本に出会う場所であることも忘れてはならないことです。
そして、本を通して職員さんにこんな人がいると知ることができれば、声をかけやすくなるかもしれませんね。
土生田館長は「普段利用されている方の意見は聞くことができている。そうでない市民の方からこそ、意見やアイデアを聞くことが大切」と言います。
この日の対話のように、行政と市民が繋がる場の必要性を感じます。
こうなったらいいな、これからの図書館
三人で対話したことの中からヒントを得て、前述の課題の解決策を次のように考えます。
・図書館の職員(行政)と市民が対話できる機会をつくる
・情報を広げてくれる市民応援団結成!
・いろいろな立場の人が場所を利活用する
関わりたいけど、行ってみたいけど、どうしたらいいかわからない人は多いはずです。
巻き込んで巻き込まれて、自分の関われる居場所にしていきたいと、私は思います。
さて、みなさんはこの記事を読んで図書館のイメージは変わりましたか?
少なくとも私は、固いイメージを勝手にもっていたのは、やはり自分だったのだなと気づきました。
図書館には、「ちょっと行ってみようかな」を後押ししてくれて、「こんなことができたらいいのにな」を一緒に考えてくれる方々が待ってくれています。
図書館に限らず行政の施設は、市民が活用したり意見を伝えたりすることで「誰もが来ていい場所」になるのです。
図書館を学びとつながりの場として活用し、豊岡の暮らしを楽しむ人が増えている
(豊岡市図書館未来プランより「目指す姿」)
図書館は人それぞれの楽しみ方があり、それを認めてくれる場所。
そんな居場所が豊岡にあることを、私は誇りに思います。
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図書館のあり方について、
宝も持ち腐れという意味では
同感です。
かと言って、図書館や図書室を
よく利用したわけではないです。
でも、あの頃に読んだ本の
ことはよく覚えています。
あの手この手で、図書館が
盛り上がるといいですね。
おしょう様
コメントいただきありがとうございます。
20年以上前の本の記憶、私も覚えています。
このまま宝の持ち腐れにならないよう
本を通して、人を通して
いろいろな活用の仕方を
みんなで考えられる地域に
していきたいですね。