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ADHD少年のラッキーズボン

母から聞いた話です。

私は制服を着て小学校に通っていたのですが、貧乏なウチに予備の制服を買えるお金はなく、1枚を着回していたそうです。
ある日、母が仕事から帰っている途中、ふと上を見たくなったそうで、
衝動のままに上を見上げると、道路脇に植えてある木の枝に鼠色の何かがぶら下がっているのが見えたそうです。
よく目を凝らしてみると、それは私が通う小学校の制服のズボン!
母は、「オモ(韓国語で「あら」の意味)!予備の制服に使えるかも!」と大喜び。
ぶら下がっているのは3mくらいの高さ。落ちている枝を使って落とそうとしてみたり、木を揺らしてみたり、ジャンプしてみたりと、ありとあらゆる努力の末に制服のズボンを落とせたそうです。
が、何を思ったのか、ズボンの内側のタグを見たそうで、その日2度目の「オモ」。
そこには「コン」の文字が書いてあったそうです。

帰宅した母は「なんであなたのズボンが木にぶら下がっているの?」と私に聞いても「わからない」
「ズボンを履かずに帰ってきたの?」と聞いても「わからない」と答えたそうです。

ここからは私の憶測ですが、ADHDの私は学校の帰り道、何らかの理由で「ズボンを脱ぐ」行動を衝動的にとり、脱いでいる最中に別の何かに興味が奪われ、その別の何かに駆け寄る最中にズボンを放り投げ、ズボンを脱いだ事自体を忘れた…のだと思います。ここには「衝動的に行動をする」「集中が続かない」の2つのADHDの特徴が表れていますね。

物をよくなくす私は、先生にも両親にも「物を大切にしなさい」と何度も言われた記憶があります。
ですが、私は大切にしていたおもちゃもなくしていました。大切にしていたのになくすのです。
何が言いたいかというと、物を大切にすることを「忘れたわけではない」ということ。
イメージとしては、「頭の中におけるのはひとつ」という感覚です。
一般的には、Aのことをする最中にBのことが目に入っても、頭にAとBのどちらもおけるスペースがあるのかと思います。
ですが、私の場合、Aの最中にBが入ると、頭からAがなくなるという感じがあります。
Aが私の大切にしている宝物でも、Bが強制的に頭の中を塗り替えてくるのです。

ズボンに話を戻すと、正直、ズボンは大切にしていなかったと思います。
パンツさえ履いていれば、ズボンがなくても大丈夫だろ、とテキトーに放り投げたのかも。
なんでもかんでもADHDのせいにするのも良くないかもしれませんが、「こんな人もいるんだなー」と笑って受け入れてもらえたら、トンデモ行動をした少年時代の私も喜ぶことでしょう。

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コンちゃん

元ADHDの映像クリエイター!コンちゃんです。 豊岡市の地域おこし協力隊として活動もしています。 私のADHDエピソードを紹介しながら、ADHDに対する理解を広めていけたらと思っています。よろしくお願いします^^

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