「医ケア」の在宅介護
『イケア』っ聞いて、みなさんはパッと何を思い浮かべますか?
大概の人は、ホームセンターの「IKEA」ですよね?
「医療的ケア」という言葉があります。
『病院などの医療機関以外の場所(学校や自宅など)で日常的に継続して行われる、喀淡吸引や経管栄養、気管切開部の衛生管理、導尿、インスリン注射などの医行為を指し、病気治療のための入院や通院で行われる医行為は含まれないもの』
(引用:文部科学省『小学校等における医療的ケア実施支援資料~医療的ケア児を安心・安全に受け入れるために~』)
という意味なのですが、この「医療的ケア」を略して「医ケア」と言っています。
ふんふん…と読んでも、難しい用語ばっかりでよく分からないですよね。
私の次男には重度の身体と知的の障がいがあったのですが、彼が出逢わせてくれた「COCOちゃん」には「医ケア」があります。
今回は、COCOちゃんの日々の様子を通じて、「医ケア」とともに生きるご本人やご家族の様子を、少しでも知っていただけたらと思います。
COCOちゃんは、喉に穴を開けて、呼吸器から酸素を取り入れています。口から食べ物が入らないので、胃に穴を開けて、点滴のように胃に直接栄養やお茶を入れています。
COCOちゃんの命をつなぐこれらの機械は、やっぱり機械…停電なんか起こると大変!!緊急用の自家発電機も持っています。しかし、停電が長引くと命にかかわるのです。緊急時は、公立病院医療センターに避難するように連携が取れています。
COCOちゃんは喋れないので、気分や体温が不快な時は、汗やヨダレを出す事で知らせています。低体温になる事もあり、体温調節が難しいので、夏でも電気毛布をする時もあります。
15歳のCOCOちゃんは、病院受診を2週間に1回、支援学校の先生が家に来て授業をしてくれる訪問学習を週に3回しています。体調によっては、週に1回支援学校に行って教室で友達と一緒に授業を受ける「スクーリング」をする時もあります。
日々の生活はというと、たんや気管内の吸引、血糖値測定、経管栄養注入(1時間かかる)、インスリン注射…と、常にかなりの注意が必要な「医ケア」があります。
COCOちゃんのお世話は、お母さんがメインでしていますが、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃん、そして月に3回の「訪問看護師」さんという看護師免許を持つ方が家に来てくれます。取材のこの日は、たまたま訪問看護師さんが来られて、手際よく看護(ケア)されている場面を見せてくださいました。
「福祉車両」も見せてもらいました。スロープが出てきて車椅子を乗せ下ろしでき、車椅子ごとシートベルトなどで固定します。
この他にも、おむつ交換、毎日のリハビリ、入浴介助、病院受診、通学の車への移動…などなど、ほぼ休む間もなく忙しい日々を過ごされているので、お母さん自身の病院受診や、友達とのランチ等は後回し…。月に3回の訪問看護師さんが来られる、わずか「90分」が唯一のお母さんの時間です。そう言いながらも、電話がかかってこないかドキドキしながらなんですけどね。私や友達とのランチの時間も、家から1番近いお店で、先に到着した私達がメニューの写メを送り、お母さんは訪問看護師さんにそれまでのCOCOちゃんの様子を伝え、到着と同時に食べながら喋り、あっという間に時間切れで慌てて1番に帰っていきます。
お母さんに嬉しい事を聞いてみました。COCOちゃんがいるからこそ繋がった、障がいのある友達とお母さん友達がたくさんできたこと。COCOちゃんのお世話は大変ではあるけど、苦労ではないということ。中にはCOCOちゃんのような状態で生きているのが気の毒だ、とか、お母さんの苦労が計り知れない、と口に出す人もいるようです。お母さんを思って言ってくれるのだろうけど、お母さんからすれば全くそんな気持ちはないようで、逆に、COCOちゃんのような状態でも生きていられるのは、医療の進歩・主治医の先生や訪問看護師さんのお陰であり、学校の先生、相談員さん、民生委員さん、そして、同じように障がいのある子どもを育てているお母さん友達の存在があるからこそ。この人達がいてくれるからCOCOちゃんが日々穏やかに過ごせる。こんなにたくさんの人達と出逢えたのはCOCOちゃんのお陰。COCOちゃんに関わってくれる全ての人に感謝!!と笑顔で話してくれました。
しかし、お母さんも歳を重ね、身体のあちこちが悲鳴をあげだしています。そしていずれ自分たち親がいなくなった後、我が子が、安全で安心して楽しく過ごせる場所が欲しい。これは、障がいのある子どもを持つ親は誰もが強く感じ、願っている事です。
常に時間に追われ、ほんとうに大変な毎日を過ごしているのに、COCOちゃんのお母さんはいつも笑顔で、COCOちゃんが可愛いくて可愛いくて仕方ないのです。そんなお母さんだと分かっているから、COCOちゃんは、このお母さんのもとに産まれてきたのです。家族や周りの人から愛情をいっぱい注いでもらいながら、今日もCOCOちゃんは家族の笑顔の中で過ごしています。
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なおさん。
記事拝読読させていただきました。
今回もじっくりと読みながら
共感して…涙して…
これからの我が子との生き方、考えさせられました。
この世にうまれてきたのには、絶対に意味があるはずだから、cocoちゃんも今を一生懸命生きているんですね。
今後もなおさんの記事楽しみにしていますね。いつも素敵な記事ありがとうございます。
かなさん
返信遅くなりました。
コメントありがとうございます。
そうですよね。誰もみんな、意味があって産まれてきたんだと私も思います。介護をする私達親も、まさか自分が重度障がいのある子供の親になるとも思わず、ショックと失望からの子育てが始まりましたが、障がいのある子供達が繋がらせてくれた、数えきれないほどの大切な出逢いがたくさんありました。
私も次男がいなかったら、 COCOちゃんや、かなさんとも出逢うことはなかったんです。
大変だけど、分かり合えるこんな友達がいるからこそ、介護も前向きに、プラスに考えられます。
私達親も人間。辛い時、悲しい時もあります。そんな時はお互い、泣きながらでも吐き出したらいいんです。スッキリして、また日々穏やかにすごしたいですね。
ママの友達です。
cocoちゃんがとママの事を発信して下さりありがとうございます。
cocoちゃんが、ママも元気で、穏やかに過ごせるのが一番ですね。いつも明るいママに私も元気をもらっています。サービスや医療が今よりも充実して、過ごしやすくなりますように。
はあとさん
返信遅くなりました。
コメントありがとうございます。
ママのお友達の方でしたか!繋がりましたね!!
嬉しいです!!
そうなんですよ。私もママからいっぱい元気もらってます!!
ほんとにその通りです。心身共に息抜きができたママはまた元気で明るくお世話ができます。医療やサービスがもっともっと充実してくれる事を、私も願ってます。