「自分の感情を抑え込んじゃうのって苦しそう。」
「うーうー」と泣いて怒り、私を叩くひろくんを見ていつも感じていました。
「泣くほど悲しい事があったから怒っている」ということは、私にも伝わりますが、
何が起こって、何を感じたのかはひろくんにしか分かりません。
そんな言葉で伝えるのが苦手なひろくんが、前回ご紹介した「ひろくんのつぶやき」として活用できるようになるまで、具体的にどのように『書くコミュニケーション』を活用していたのか、ご紹介したいとおもいます。
目 次
改めて『書くコミュニケーション』とは?
いま自分がどんな気持ちなのかを紙に書き出し、視覚的に捉えて整理していく方法です。
聞き取りを行っていくにあたり、子どもの様子をよく観察することも出来るので、これまで気づかなかった子どもの感じ方に触れることもできます。
私がこの『書くコミュニケーション』方法を行った目的は3つあります。
- ひろくんが自分の気持ちを溜め込まないように、叩くことや発語以外に表現出来る方法を増やしてあげたかった。
- 感情の整理を図り、伝えることの成功体験を積ませたかった。
- ひろくんをもっと理解したかった。
私がひろくんにこの方法を使い出したのは4・5歳でした。
まだ文字が読めない時期だったのでこちらも文字より意識的に絵で書いて聴きます。
手順①気持ちを落ち着かせてから
パニックになって泣いている状態では、いくら書いて聞いてみても本人が応える準備が整っていないので、そっと寄り添ったり抱き締めて、本人の気持ちが落ち着くまで待ちます。
我が家の場合、泣き止んでからアイスキャンディー等、少しお菓子休憩を挟んでから
「さっき、ひろくんが何で悲しんでいたかお母さんに教えてほしいんだ」と伝え、同意が得られてからはじめます。
手順②気持ちの整理
「怒り・悲しみ、どちらの気持ちが強かったのかな??」

写真のように書いた上で、言葉で聞きます。
本人には指をさしてもらったり、違う色のペンで自分の感情に近い所に○等の印をつけてもらいます。
教えてくれた感情には
「そっか。悲しい気持ちでいっぱいだったんだね。」や「すっごく怒れたんだ。」と共感を示します。
手順③詳しく聴いてみる
教えてくれて嬉しかったこと。
もう少し教えてほしいことを伝えて、同意を得られたら深掘りしていきます。

「手順②で教えてくれた感情になったのはなんでだったの??」と、『?』で聞いてみます。
その問いに答えてくれたら、そのことを保育者が代わりに書きます。
ひろくんは言葉で伝えられそうにない場合は自分で絵にして書いてくれることもありました。
なので、「これは誰??お兄ちゃんかな??」など、こちらから聞いたら頷いたり首を振って教えてくれました。
この聞き取りで事情が知れたら
「そっか。あなたは○○があったからこんな気持ちになったんだね。そんな事があったら悲しい気持ちになっちゃうよね。」
と、気持ちの代弁(可能なら共感も)をします。
保育者が気持ちを代弁することで『自分の気持ちをこういう風に伝えたら良いんだ。』というお手本となります。
手順④本当はどうしてほしかったのか。どうしたかったのか。
手順③までで、本人が何を感じてどういった気持ちになったのかを知ることができました。
ここまで教えてくれるだけでも本当にすごい事です!
手順④は本人の様子を見ながら、もう少し教えてくれそうだったら取り入れてもらえると
「本当はこうしてほしかったのに」「本当はこうしたかった」と言う部分が本人から直接知れるので、
それはその子の「自分の本当の気持ちを出せた!」という成功体験に繋がると私は感じています。
『書くコミュニケーション』方法の注意点
- 無理矢理はしない。
言葉に出来ない気持ちを聞き出そうとしているのはこちらです。子どもが「嫌だ」と言った聞き取りを中断したり、時間を置いてみて無理をさせないようにしましょう。 - 子ども自身の感じ方を尊重する。
本人が話してくれる怒りや悲しかった理由・感情は、本人のものです。聞き取りが進んでいくと保育者の納得出来ない理由が出てくる可能性がありますが、「そう感じたんだね」と、そのまんまを聴いてあげてください。 - 否定しない。
話してくれている途中で大人が否定してしまうと、子どもは「やっぱり分かってもらえない。」という気持ちになります。その気持ちが積み重なると自己否定感に繋がってしまいます。
もし、なにか本人に気づかせたい想いが聞き手にある場合は、聞き取り後、話してくれた事への感謝を伝えてから「○○について、他のやり方はないかこれから一緒に考えてみよう」と提案してみてはいかがでしょう??
活用例

実際にひろくんが泣いて怒っていたときに書いて聞いてみました。
その時は悲しい気持ちを指指し、何があったかを聞くと
『ゲームをしているときにお兄ちゃんが「よわいくせに」って言ってきて怒れた』と教えてくれました。

また、行動の整理にも書いて一緒に考えました。
妹に「いやだ」と言われて怒ったひろくん。
「いやだ」や「やめて」はあなたを否定しているんじゃないんだよ。
気持ちを伝えているだけなんだよ。と、
怒れた時にしても良い行動と、いけない行動を整理して伝えるツールにもなりました。
その他「絵カード」

「絵カード」とは、イラストや写真を活用して日常の行動や出来事、気持ち等を表すことに用いられる視覚的な支援ツールです。
保育園・幼稚園でも日々のスケジュールを子供たちに伝える時にも使われていたり、おもちゃの片付ける場所を誰が見ても分かるように用いられています。
そんな絵カードの「きもち」版。
ネットで「感情カード」「きもちカード」と検索してもらうと、書籍や無料ダウンロードが可能なものもありますし、保育者の手描きでもよいと思います(^^)
子どもの気持ちを知るツールの1つにオススメです。
さいごに
この方法を私が実際に使ってみて感じたことは、
『何か言えない理由が必ずあるからこの子は言わないんだ』という心構えが必要だということです。
もしかしたら「話したら怒られる」とおもっているのかもしれない。
表現できる言葉を知らないのかもしれない。
しかし、アプローチを通して我が子を観察していき、想いにおもいを馳せると、見えていなかった我が子の一面にも気づく事が出来ました。
あくまで『コミュニケーション』の一つとして、お子さんの気持ちに歩み寄る手段としてお試しください。
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