運転免許返納 そして
軽トラックの左側、前から後ろにかけてザーッと激しくこすった跡。簡単に塗装されてはいたが、明らかにわかる傷跡。父に尋ねると笑ってごまかされた。
普通車を大きな修理に2回出していたことが判明。車屋さんからたまたま話を聞く機会があってわかった。
今後、このようなことがあったら私にも連絡をしてほしいと、車屋さんにお願いした。
軽トラックを廃車にして、普通車を軽自動車に買い替えることに。
ある時、軽自動車の左前バンパーにひび割れ、左ミラーにこすった跡を発見。
そして
家の近くの交差点で接触事故を起こした。この時も父はすぐに私に連絡をしてこなかった。
相手がいたものの大きなけがを負わせることもなく、保険会社が間に入り大事にならずに済んだのは幸いだった。
この事故が決め手となり、父は運転免許返納を決心できた。それも車屋さんに勧められてのこと。これまで私たちが何度となく話してもダメだったのに。
このとき父は90歳を過ぎていた。
免許返納を決心しても、ぐずぐず言って食い下がる父。
「今年が更新だからそれまでは乗る」
「あと2か月で車検が切れるから、それまで」
そこに車屋さんのひとこと。
「そうする間に何かあったら、悔やんでも悔やみきれないことになります」
これでやっと踏ん切りがつき、車を売る手続きと警察での運転免許返納手続きを済ませた。事故から約1か月後のことだった。
あぁ、やっと免許返納してくれた。大きな心配事がなくなったと安心した。
が、免許返納にまつわる続きが始まる。
「椅子に座って動く車があるだろう?あれを買ったら買い物に行けるか?」
運転免許が要らない電動カート、いわゆるシニアカーのことだ。父は、購入したいと思っていたようだが、年齢を考えると何年乗るだろうと思い、レンタルを勧めた。
また、いつも家から行っていたスーパーまでは遠すぎて充電が持たないし、平坦な歩道がないと危ない。
行動範囲はかなり限られる。このことを理解させるのもひと苦労だった。
結局、ごみステーションと郵便局に行くだけだが、シニアカーをレンタルすることになった。
ケアマネジャーを決める
要介護認定申請
福祉用具を取り扱う業者へレンタルを申し込む
自宅周辺で試乗をして、レンタル開始
業者の担当者からは、要介護2以上だとレンタル補助が出ると聞いていたが、父は要支援1だったので10割負担でレンタルすることにした。父も納得していると思っていた。
1か月後、引き落とされている金額を通帳で見て父が文句を言ってきた。
そして、2か月でレンタル終了。
それからまもなく、ケアマネさんから連絡が入った。シニアカーを介護保険の負担割合でレンタルできるというのだ。
父は2割負担なので、それならもう一度ということになり、レンタル再開!
週に1回のゴミ出し、月に1回行くか行かないか程度の郵便局行き。しかも、天気の悪い日には乗れない。なので、わずかな回数だけの利用だ。
実際、ゴミは私がよく持って帰っているし、郵便局の用事だって代わりにすることがある。その方が簡単で早い。
しかし、ごみ出しと郵便局行きだけでも、自分でやろうとしている父の自立心と、父と地域社会とのかかわりを大切にしなければいけない、と私は思うようになった。
できることを取ってしまわないように、見守りつつ、必要な時にフォローする、やりすぎない関係でいたいとこの頃は思うのだ。
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