命を守るお節介は船出する。
こんにちは!旅するように暮らす、子連れ犬連れ転勤族ママのRINAです!
実はこの春、夫の転勤が決まり、兵庫県豊岡市から福井県へ引っ越していました。
職場の引き継ぎのため夫が先に福井県入りして、いわゆるワンオペの中、私は引っ越し直前に大きな仕事が控えており、そんなときにかぎって家族を襲う体調不良の猛威…長女は小学生になるタイミング、次女はイヤイヤ期全盛期!今回の引っ越しもなかなかの修行でした(笑)。
しかし、こういう「ふだんのくらしのしあわせ」に変化があるときというのは、たくさんの気づきがあったりもします。
当事者の状況や本音を体感することで、そこから、本当に当事者が必要としている『支援』のアイデアにつながることもあります。自分の辛い経験や違和感を逃さないことが、今よりやさしい社会や未来を創造するヒントになる。
子育て世代の核家族の引っ越し
転勤族の夫と結婚して、結婚生活9年目、今回で引っ越しは5回目です(子連れでの引っ越しは3回目)。
転勤族なので、引っ越し自体は慣れています。
この『引っ越し自体』というのは、通勤範囲内の周辺自治体や生活環境のリサーチから物件探し、荷造りや手続きなどなど…転勤族たちは、すごいスピードでこなしていきます。
しかし、数年おきの転勤・引っ越しのたびに、子どもの成長や帯同する家族の仕事や状況…私たち自身のライフステージが変わっていくので、毎回違う壁にぶち当たっています。
近くに家族や友人がいたら、助っ人をお願いすることもできますが、全国転勤の我が家…いわゆるバリバリの核家族。今まで住んでいたまちを出ていくときは、使い慣れた子育て支援サービスを利用したり、そのまちでできたお友達を頼ったりできても、一歩新しいまちに向かえば、最初は自分たちでどうにかするしかない日々からスタートします。
アプリで美容院を予約するみたいにSOSが出せたらいいのにな
最近では、自治体の子育て支援サービスや民間の子育て支援活動なども充実してきています。自分のニーズやどこまで求めるかは別として、本当に困ったとき(命や心に危機感を感じたとき)に頼れるサービスや場所は『ある』んです。
しかし、それらのサービスや場所を利用するには、自分で情報を取りにいく『アクセスする』必要があります。
検索して、自分から「はじめまして」とコンタクトを取ったり、開所時間内に電話をかけたり、登録したり、予約したり…。
選ぶくらいたくさんあるまちもあれば、必要最低限に集約されているまち…地域によって、サービスや施設の呼び方や用途も微妙に違ったりします。
一生懸命発信してくれている自治体もあれば、ママ同士のシェアも乏しく「このまちの子育て世代はどうしているのだろうか?」と、そのまちの子育ての実態が外から想像できないまちもある。
情報を取りに行って、知り、選ぶ…とてもエネルギーを使います。
実際それらを利用できるようになるのは、そこにアクセスできる余裕ができてから…つまり、究極に切羽詰まっている状況を乗り越えた後のことが多いのでは?と感じるのです。
これは私自身の、そして、転勤族仲間の経験談でもあります。
引っ越し直後〜1、2ヶ月…転勤族仲間の間では「一旦疲れる!」「一番余裕がない」といわれる期間です。この期間、一番しんどいんだけど、正直一番アクセスする余裕がない。
一番SOSをキャッチして欲しい・支援が欲しいタイミングって『その時』で、まさに『今』ってときに、検索したり、電話したり、登録したり、予約したり…そんな時間と労力がもうないから、SOSを出したいのだ!(笑)
本当の命綱は『すぐ掴めるように』、アプリを使って美容院を予約するくらい『気軽で簡単に繋がることができるもの』であってほしいと思うのです。
問い合わせるより速く届いたSNSでの『SOS』
今回の私の実体験です。
引っ越しから1ヶ月経ったくらいの頃(ついこの間の話です)、疲れと緊張がピークに達していました。
「変な気を起こしてしまいそうでこわい」「誰かに言わなきゃだめだ」
危機感を感じ、子どもも自分も守りたかったから、私は勇気を出してSOSを出すことにしました。
しかし、相談窓口みたいなのを検索したら、ものすごい量の情報が飛び込んできて、それだけで頭の中がぐちゃぐちゃに…軽くパニックでした。
完全にキャパオーバーでした。
気持ちを1人で抱えることがもうできないから、安心安全な相手や場所でホッとしたいだけなのに、不安を口にしたら、子どもを保護されてしまったり危険人物扱いされたりするんじゃないか…勇気を出して検索したら、大量の文字と情報に飲み込まれてたどり着けない…。
そんな私が命綱に選んだのは、SNSでした。
素直な気持ちや状況を流して、「私たちは今こういう状況でここにいる」を発信したのです。
それを見た全国の子育て仲間が連絡をくれたり、転勤族仲間が「引っ越したばかりで今しんどいママがいるよ!誰か近くにいない?!」って声をかけてくれたりしてくれました。
そして、事情を知った転勤族仲間のお友達(私とは初対面です!)が「会いに行こうか?」って、隣の県から会いにきてくれることになったんです。どこに向けたらいいかわからなかったSOSを、勇気を出して人の目に触れるところで発したら、キャッチしてくれる人がいました。
彼女は、「一緒に公園で遊んだだけで、助けになったかわかんないけど(笑)」って笑っていたけど、私は、ご縁をつないでくれた転勤族仲間と、会いにきてくれてお友達になってくれた彼女に、子どもたちと私の心と命を救ってもらったと思っています。
あなたのまちにも
その日、車で2時間かけて会いにきてくれた彼女と、公園で子どもたちを遊ばせながら、「虐待のニュースとか他人事とは思えないんだよね」「まわりの人は気づかなかったのかな…。このお母さん、助けてと言えたら未来は違ったかな…って思ってしまう」という話になりました。
彼女がのちに、私について「こんな元気なお母さんでも、辛いことがあるんだ」と綴っていた。
言わないだけ、言えないだけで、そんな〝瀬戸際なある日〟を越えてきた子育て世代は、きっと少なくはない。
子育ては、振り返れば素晴らしい日々の連続です。だけど、その素晴らしい日々とともに、私たちは、いつか誰かが同じ思いをしたときに「そんな日もあるよね。よく言ってくれた。子どもたちとあなた自身を守ってくれてありがとう」と肩を抱けるように、自分が〝瀬戸際にいたあの日〟の気持ちを忘れてはいけないのかもしれない。
子どもを抱えて右も左もわからず途方に暮れるママの背中、居場所をなくした『孤育て』、頑張った末の虐待、届かなかったSOSも…当事者じゃなければ平和に見える、まちの片隅で起きています。
『支援』は港ではなく船であるべき
『支援』って聞くと、大きなことに感じたり、専門機関の役目という印象もあるかと思います。
しかし、組織(行政のサービスや支援団体の活動)だからできること、友達だからできること、2度と会うことはないかもしれない他人だからできること…大きなことから小さなことまで、できる『支援』はみんな違うんです。みんな違うけどできることはあって、みんな違うからできることがあるんです。
『支援』の意味を調べると、「(苦境にある人に・団体に)力を添えて助けること」と出てきます。とても前のめりな表現だと思いませんか?「お節介かも」なんて遠慮していたら、『支援』はできないのかもしれない。
助けが欲しい人って、そもそも船を漕ぐ力がないから助けてほしいんじゃないかな?
『支援』が港のようにドーンと「助けてほしい人はここにおいで〜」では、船を持っていて船を漕ぐ力のある人しか助けられないよね。
『力を添えて助ける』には、船出する必要があるってこと。
今回当事者としていろんな状況も気持ちも味わって、身をもって教えてくれる人に出会って、私自身大きな学びになりました。
おしらせ
記事のはじめでお伝えしましたが、この春、夫の転勤が決まり、豊岡市から福井県に引っ越しました。
とよニコ事務局には引っ越しが落ち着くまで、最後の執筆を待っていただいていました。最後まで思いをくんでくださり、わがままを聞いてくださったこと、感謝の気持ちでいっぱいです。とよニコのみんな、ありがとう♡大好きです!
伝えたい福祉の話も届けたい思いもまだまだたくさんありましたが、引っ越しを機に、とよニコライターも卒業させていただくことになりました。
私の綴る『ふくし』は、これが最後の記事です。
今後のとよニコは、とよニコライターに新たな顔ぶれも加わり、ますますいろんな色の『ふくし』を感じられる予感!
同じ空の下、私も私で、これからもずっと『誰もがやさしさの中で生きていけるように』発信を続けます。
今まで本当にありがとうございました♡
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