続:ボクらの町づくり ごちゃまぜ座談会②~「カオスと共に生きるはっぴーの家の日常」
続編②では、はっぴーの家で大事にされていることや、運営のコンセプトについて、お伝えします。
前回の記事「ボクらの町づくり ごちゃまぜ座談会①~「カオスと共に生きるはっぴーの家の日常」」
日常の登場人物を増やすこと
この言葉「日常の登場人物を増やすこと」について。
首藤さん
「このおじいちゃんに、何がしたいですかと聞いても出てこない。でも人と出会うことによって見えてきたりする。 実現可能性が上がる。そういう意味で、この言葉をすごく大事にしながら運営しています」
人生を物語に例えてみて、最終章に近づくにつれて登場人物が増えて行くとは。
こんな発想は、思ってもみなかったことでした。私が知る高齢者は、皆だんだんと出会う人が減って行くばかり。
しかし、はっぴーの家では真逆とも言える世界が広がっているようでした。
人生の最終章を賑やかに、出会いを繰り返しながら過ごしている人々の姿が、スクリーンに映し出されていました。
みんな良い笑顔です。
こんな暮らし方もあるんだ。これなら心も寂しくないなぁ…。
やりたい事を実現させることに懸命な人が、周りにたくさんいて。そして、みんなで楽しんでいる!
私にとって、驚きの世界でした。
関連事業所のWAGOMUでも高齢者、障がいのある子ども達、アーティスト達も集まり、イベントの準備から参加して楽しんでいる様子が紹介されました。
首藤さん曰く「混ぜるコミュニティーの面白さ」
こうして登場人物は、どんどん増えていきます。
Happyな暮らしを問い続ける人達
はっぴーの家では、その人にどういう介護サービスを入れたらいいのかという「ケアプラン」をたてる前に、「Happyプラン」をたてるそうです。
首藤さん
「Happyプランというのをたてます。この人は、どういう暮らしをしたら幸せなのかを、まず作るようにしています」
最初に考えられたプランだけでなく、日常の中で本人が発した言葉や、何かに反応した様子に誰かが気づき
「〇〇さんは、これがしたいんだって」
「〇〇さんが、これに反応したから」
と繋がり、高齢者を幸せにする計画が実現へと動き出しているようでした。
そのきっかけは大人に限らず、花火のエピソードのように、子ども達からも。
やりたい事を高齢者に諦めさせない、それを実現することを周りが諦めない。
それは高齢者が1人では危険だと思われることや、年齢的に無理じゃないか?と思われること。
海に行ったり、蛍を見に行ったり、昔の職場を訪ねたり。
写真家だったおじいちゃんを、また写真家に戻すというプラン。次には音楽に発展し、DJもできるようになり、パーティーで披露することを、本人がとても楽しんでいる。
この様に年齢による違いが消えていく状態を「消齢化社会」と言うそうです。
遠くのシンセキより近くのタニン
はっぴーの家のコンセプト「遠くのシンセキより近くのタニン」
高齢者の家族にとって、関わってくれる他人が多いことは、とても心強いことです。
本人の希望を叶えようとしても家族だけでは限界がある。他人の力を借りたとしても関わる人が少ないと、また限界がある。
家族側も、みんなの迷惑になるかも?負担を増やすかも?と遠慮してしまう。ある意味、諦めの繰り返しのような生活になってしまうことが多いです。
でも登場人物の多い、はっぴーの家では、違います。
車椅子の高齢者を海に連れて行ったエピソード。海に行きたい高齢者は、想定していた4人を大きく超えて28人に。
でも断ることはしない。スタッフで安全管理について何度もミーティングし、検討を重ねて、他の関係団体にも協力を頼み、全員を安全に海に連れて行くことができたそうです。
みんなで楽しみながら、大変な労力がかかろうとも、それを実現することを諦めない人達が周りに多くいること。
本人だけでなく、その家族や親しい人達も嬉しく、幸せになる環境だと感じました。
お通夜である「お別れの会」には、たくさんの人が準備に集まり、故人が好きだった物で飾り付けをしている様子が映し出されました。リビングをバーのように変えて、故人が望んだ最高に格好良いお別れの会が開かれました。
みんなで思い出を話しあう「思い出の交換」をして、故人を送る。
故人を偲んでくれる人がたくさんいる。最期の時まで、本人の希望を叶えようとしてくれる人達がいる。
自分に照らし合わせ、家族の立場で考えると、本当にありがたいことだと感じました。
遺族となった方々が、その後も繋がっていたいと定期的に飲み会「EZOC」を開いたり、蛍を見に行く会に参加したり。家族も一緒に良い繋がりができていたのが、伝わってくるエピソードです。
私の母が最近、「毎日がつまらない。もっと話ができる人と会いたい」と言い、それを聞いても、私も何もできず、とても辛い気持ちになります。大きな悩みです。
こんな場所が近くにあれば、私と母の暮らしは、また違ってくるのかも…。
続編③では、今、新長田で起きていること、コミュニティと町づくりについてお伝えします。
主催 「一般社団法人 INCREW」
INCREWインクルー|兵庫県北部但馬地方でインクルーシブな活動拠点を。 (beincrew.com)
会場 「とゞ兵」
とゞ兵 | Reviving a historical architecture. (todohyo.com)
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